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F's Company 「ワレラワラルー」 
2010.12.24 Friday 22:57
JUGEMテーマ:演劇・舞台

 

「 ストーリー以外の曖昧さ・創りの甘さは惜しい 」

        
日時:2011年12月12日  14:00〜     場所:ぽんプラザホール

村山雅子(HN: 観世)



 劇場に入ったら、舞台が組まれていなくてちょっと驚く。ホール中央の床が演じる場で、その両側に階段状に客席が設置されている。中央のフラット部分の突き当りには、両方に緑色の金網で作られた扉付きの出入口。ここはワラルーの飼育場なのだろう。ワラルーが逃げ出さないように、出入口にああして金網が施してあるのだ。ワラルーはカンガルーの小型の動物であるという。客席の前には低い緑色の柵があり、動物園の「カンガルー広場」みたいな雰囲気がよく出ている。開演10分前になると、4匹のワラルーが現れ、飼育場で思い思いに過ごしだす。耳のついた茶色いフード付きマントで扮した役者たちである。寝そべったり、他のワラルーと顔を近づけてみたり、立ち上がって入場してくる客を凝視したり。飼育員が出入口の脇でそれを見張っている。パンフレットもまるで動物園の園内マップだ。ここまで凝ったオープニングから、舞台は始まる。

 ただし、動物の世界を題材にしているという設定を除けば、ストーリー自体はあまり目新しいものではない。悩みを抱える少女が、友人の理解や母の死によって、精神的に成長するというのが大枠の話だ。物語も、静かに落ち着いて進んでいく。(作・演出 福田修志)

 最初にワラルーの親子が会話するところは、動物なりきりごっこのようで、動物を人間が演じるのはやはり難しいなと思った。ただ、親子ゲンカをしながら客席に向かって「じろじろ見てんじゃねー!」と父親が怒鳴ったのはおもしろかったし、チンピラみたいなカピバラにも意表を突かれて笑った。

暗転を一度も使わず、ワラルーのマントを脱いだり着たり、あるいは相手に着せかけたりすることで、人間になったり動物になったりの変化を見せる手法はおもしろい。マントだけを持っていくことで、ワラルーを連れていったことを表現したり。そのマントの脱ぎ着が、後半あったりなかったりするようになり、人間なのかワラルーなのかが曖昧になってくる。たとえば、ワラルーの子ども役の二人が、飼育体験の女子高生二人も演じているが、この設定がだんだん混ざりだぶっていく。彼女たちはワラルーになった夢を見たのか。あるいはワラルーが人間になった夢を見たのか。

後半、ワラルーのお母さんハイジが倒れる。一人の飼育員は自分のせいだと落ち込み、死んだら解剖するということに対して激しく反対する。かわいがっていたのはわかるが、動物園では生死と向き合うのは日常的でいわば当然のこと。あそこまで抵抗するのは少々不自然ではないか。

また、ところどころに見られた造形物の稚拙さが気になった。ワラルーのマントはあれくらいでもいいかもしれないが、たとえばカピバラさんの鼻が壊れてしまったりした。ただ、あそこは笑いどころでもあるし、壊れたことをネタとして利用してもおかしくない。興がそがれたのは、解剖したときに取り出した内臓だ。ハイジの体の中から1個1個内臓が取り出され並べられて行くが、これが小さな手芸の手作り品のようなもの。こんなにシリアスで重要な場面なのに、「ん? 笑うところ?」と思ってしまった。あの取り出したものが、(小さくても)もう少し凝った造りで重みのある造形物だったら、あるいは不思議に光り輝くようなものであったら、舞台の緊張も途切れないのではないのだろうか。飼育員が解剖にあれほど抵抗し、倒れた後も獣医師と飼育員が必死に看病した、揚句の解剖シーンである。隙を見せずに作って欲しかった。

最後に小さなノートがハイジの体の中から出てくる。ワラルーのお父さんから受け継いだ、大事なことがメモしてあるノ−トだ。もらわれて来たりよその動物園へ行ったりする、本当は血のつながらないバラバラなワラルーのメンバーを、家族としてつなぎとめる記憶であり、遺伝子であり、受け継がれるものの象徴。このノートは今度は、ワラルーの子どもが受け継ぐのだろうが、そんな展望が見えてもよかった。

オリジナルの音楽が心地よく美しい(柴田健一)。作品にもよく合っていたと思う。また照明(友永貴久)もいつも通り幻想的で綺麗だ。ただ舞台は、前方に普通に組んだ方がよかったのではないか。ワラルーが近づいてくるのは楽しかったが、その他は少し離れて見たいという欲求を覚えた。

【終】


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